~これまでのお話~
アメノヒボコはオオクニヌシと別れたのち、出石(いずし)に渡りましたが、そこは海水が溜まりドロドロの土地でした。アメノヒボコは先頭に立って働き、海水をせき止めている岩を砕きました。海水は流れ出しましたが、この地の主である大蛇が現れ、再び海水をせき止めました。アメノヒボコは大蛇の前に絶体絶命のピンチを迎えました。
嵐の中で身動きが取れないアメノヒボコに大蛇が襲い掛かります。
大蛇は大きな口を開け、アメノヒボコを飲み込みにかかりました。
「ああ、ヒボコ様・・・」
村びとたちは、絶望的な気持ちでアメノヒボコが飲み込まれるのをただただ見つめるしか出来ませんでした。
「アメノヒボコ編」完
・
・
・
・
・
なんて結末のはずがなく・・・
村びとの中でたった一人だけ諦めていない女性がいました。
アメノヒボコが出石に来てから娶った新妻のマエツミです。
マエツミは手に何かを持ち、それを振りながら、
「海よ~、風よ~、穏やかになりなさいっ!!」
と叫びました。
すると、あっという間に風は止み、波は穏やかになり、みるみるうちに大蛇の姿はしぼんでいきました。
マエツミの手に握られていたのは、アメノヒボコが故郷である新羅の国から持ってきていた、波と風を自在に操ることの出来る領巾(ひれ:スカーフのようなもの)でした。
さあ、こうなればこっちのものです。形勢逆転したアメノヒボコは、大蛇の首を力強く締め上げ、ギリギリとねじり始めました。
そして、
ブチーン!!
一気に大蛇の首をねじ切ると、海の彼方へ投げ捨てました。
(あ、ズボンの色が抜けてる・・・)
よう