さらば海の宮殿
~これまでのお話~
ウミサチの釣り針を探すため、海の宮殿を訪れたヤマサチ。3年の時が経ち、中つ国へ戻る日がやってきました
「お兄たま~」
ヤマサチの足に抱き着いてきたのは、トヨタマビメの妹・タマヨリビメでした
タマヨリビメはヤマサチによくなついていました
「お兄たま、いかないで・・・」
トヨタマビメは言いました
「これこれ、タマヨリ。
ヤマサチ様を困らせてはいけませんよ」
ヤマサチはタマヨリビメをギュッと抱きしめ頭を撫でました
「皆さん、お世話になりました
オレはこれから中つ国に戻ります
お元気で」
ヤマサチはそう言うと、ヒトヒロワニの背中に跨りました
「頼んだぞ、サメ君!!」
「合点承知の助!!」
スピード自慢のヒトヒロワニです。ヤマサチの姿はみるみる小さくなりました
海の住人達はヤマサチの姿が見えなくなっても、しばらくその場を離れませんでした
皆、思い思いにこの3年間のことを振り返っていました
誰にでも分け隔てなく優しく接したヤマサチは、海の宮殿の人気者だったのです。
「ヤマサチ様、どうかお元気で」
トヨタマビメはつぶやきました
よう