諏訪に移り住んだタケミナカタは、些細なことから妻・ヤサカトメノカミと大喧嘩をしてしまいました。
タケミナカタと大喧嘩をしたヤサカトメノカミは、プチ家出をしようと決意しました。
夫婦の住まい(現在の諏訪大社上社)から出て湖を渡り、別居することにしたのです。
ヤサカトメノカミはお気に入りの温泉の湯を綿に染みこませ湯玉を作りました。化粧用に持っていくことにしたのです。
途中、ポタポタと湯がしたたり落ちると、そこから温泉が湧きました。これが上諏訪温泉になりました。
湖にでると小舟を操る村びとを見つけ、声をかけました。
「ちょっとお願いがあるのだけど・・・」
村人は答えました。
「これはこれはヤサカトメノカミ様。どうかなさいましたか?」
ヤサカトメノカミは村人に船で対岸に渡してほしいと頼みました。
村人は答えました。
「へえ、もちろんです、お安い御用ですよ」
対岸につくとヤサカトメノカミは村びとにお礼を言いました。
そして別居先(下社)に到着し、湯玉を置くとそこから温泉が沸きだしました。これを綿の湯と言い、下諏訪温泉の始まりです。
こうして、ヤサカトメノカミの別居生活がスタートしたのでした。
つづく
よう