アメノヒボコvs大蛇
~これまでのお話~
オオクニヌシとアメノヒボコは、綱引きで力比べをした後、心を開き酒を酌み交わしました。そして共に力を合わせ国を豊かにしようと誓い合い、別れました。アメノヒボコは出石(いずし)に渡りましたが、そこは海水が溜まりドロドロの土地でした。アメノヒボコは先頭に立って働き、岩を砕きました。海水は流れ出ましたが、あと少しというところで、この地の主である大蛇が現れ、再び海水をせき止めました。アメノヒボコは大蛇に飛び掛かりました。
泥海の底から姿を現した大蛇に、村びとは恐れおののきました。
しかし、勇敢なアメノヒボコは恐れることなく大蛇に飛び掛かりました。
マッチョなアメノヒボコは、大蛇の首を絞め、ねじりねじり、そのままねじり切ろうとしました。
しかし、大蛇も負けてはいません。鋼鉄のように固い尻尾でアメノヒボコをバシンバシンと繰り返し殴りました。
これにはアメノヒボコも気を失いそうな衝撃を受け、ついに大蛇の首から手を放してしまいました。
大蛇は口を大きく開け、
ギャー――ス!!
といななくと、強風が吹き荒れ、辺りは真っ黒な雲で覆われ、雷が鳴り響き、ついには豪雨が降りだしました。
泥海は水かさを増し、大波がアメノヒボコを襲います。まるでアメノヒボコは嵐の中にいるようで、立っているのがやっと・・・というありさまでした。
豪雨を全身に浴び、力を増した大蛇は2倍にも3倍にも膨れあがりました。
「ああ、ヒボコ様・・・」
祈るような気持ちで見守っていた村びとたちですが、アメノヒボコを助ける手立てがありません。
大蛇は、アメノヒボコの目の前に頭を動かすと、大きな口を開け一気に飲み込もうとしました。
「くそう!!この嵐では思うように動くことも出来ぬ!!もはやこれまでか。村人たちよ、愛する新妻マエツミよ、そしてオオクニヌシ様・・・申し訳ない。」
よう