古事記スクール

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心は一つ

~これまでのお話~

 オオクニヌシは、国造りのため兵庫県の宇頭川(うずかわ:現在の揖保川)を訪れた時、アメノヒボコという異国の神に出会いました。オオクニヌシは警戒し、アメノヒボコを陸に上げませんでした。二人は決着をつけるため綱引きを始めました。なかなか勝負はつかず、綱引きは3日目に突入し、結果引き分けとなりました。

 

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さて、綱引きを終え、オオクニヌシアメノヒボコの土地問題も解決しました。

 

オオクニヌシは従者と土地の人々を集め、大勢で宴会を始めることにしました。

 

宴会は大盛り上がり。あたりには笑い声が響きます。

 

オオクニヌシアメノヒボコもたくさんのお酒を飲み、やがて帯を外し、衣服を脱ぎ捨すてました。酔いが進むほどにどんどん心が打ち解けていきます。

 

オオクニヌシは、アメノヒボコに尋ねました。

 

「ところで、奥さんを探しているうちに迷い込んだといっていたけど、何かあったのかい?」

 

アメノヒボコは答えました。

「いや~、実は妻のアカルヒメはとてもよくオレに尽くしてくれたんです。なのにオレときたら、調子に乗ってしまって・・・まぁ今風に言うとDVってヤツですかね~」

 

アメノヒボコは続けました。

「妻は『自分は日の出の女神だ。もう日の国へ帰る』」と言って家を出てしまったんです。オレは慌てて妻を追いかけました。しかし、伊勢という土地の海に入ろうとしたところ、妻を見失いどうしても進むことが出来なくなってしまったのです。そしてこの土地に迷い込んだというわけです。」

 

オオクニヌシはうんうんと聞いていました。

 

アメノヒボコ

「ああ、話をしたら胸のつかえがとれたような気がする。こんなに楽しい宴会は初めてだ。オオクニヌシ様、これはお礼だ。どうか受け取って欲しい。」

と言って、美しい玉、波や風を操る領巾(ひれ:スカーフのようなもの)、鏡などを差し出しました。

 

しかし、オオクニヌシは丁寧に断りました。

 

「気持ちは嬉しいけれど、それは受け取れないよ。生まれた国の宝は大切にしたほうが良い。それよりも、これからはつづらの落ちた但馬の出石(いずし)の神となってはどうかな?私はこの国を豊かにするために国造りを進めているんだ。共に力を合わせ国造りに励まないか?いや、ぜひ力を貸して欲しい。」

 

アメノヒボコの胸には熱くこみ上げてくるものがありました。オオクニヌシの謙虚であり真摯な態度、そしてこの国への想いに心から感動していました。

 

「やりましょう!!オオクニヌシ様!!」

 

二人の絆は強く結ばれました。やがて宴会が終わり朝を迎えると「共に豊かな国を造る!!」と誓い合い別れたのでした。

 

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よう