178の白うさぎ⑤
~これまでのお話~
サメを騙し、隠岐島(おきのしま)から気多の岬(けたのみさき)に渡ろうとした白うさぎ。渡り切る寸前で、サメを騙したと口を滑らせてしまい、皮を剥がれてしまいました。そこを通りがかった八十神(ヤソガミ:オオナムヂの兄達)は「身体を海水で洗い、風に吹かれていれば治る」と白うさぎに伝えました。
80人の兄達から大きく遅れて気多の岬にやってきた末っ子のオオナムヂ。背中には、兄達の荷物が入った大きな袋を背負っていました。どこからともなく、とても香ばしい匂いが漂ってきました。
グ~
オオナムヂの腹の虫が鳴きました。
「ああ、なんて良い香りだろう・・・」
歩くたび、良い香りが近づいてきます。
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「こ、これは!!」
オオナムヂは、香りの元に辿り着きました。
そこには・・・
うさぎの燻製が寝転がっていました。
「な、なんて美味しそうなうさぎだっ!!」
その時、うさぎの燻製からか弱い声が聞こえました。
「た、たすけてください・・・」
「ん?このうさぎ!!ちょっぴり生きてる!!
どうしたんだい?うさぎ君。ひどいケガじゃないか?」
海水で身体を洗い、風にあたった乾燥うさぎは、まるで燻製のようにカピカピになっていました。
「実は、カクカクシカジカというわけで・・・」
元・白うさぎは、力を振り絞り事の成り行きをオオナムヂに説明しました。
「そうだったのか。では僕が正しい治療法を教えよう。
①まず、川の真水できれいに体を洗う
②蒲の穂を集めフカフカの寝床を作る
③蒲の穂の寝床でゆっくり休む
このたった3ステップで元の身体に戻るよ。」
うさぎは(ちょっと前に同じようなことがあったな・・・)と思いつつ、藁にも縋る思いでオオナムヂの言う通りにしました。オオナムヂは旅を急ぐ身ではありましたが、うさぎを手伝うことにしました。
そして、元・白うさぎは、オオナムヂに教わった3ステップを無事に終えました。
よう